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共通テストを終えて

うまくいった皆さんへ

 

 まずは過去の自分の努力に対して、敬意を表して下さい。皆さんに関わった者の一人として、皆さんの成功は嬉しいことです。ささやかに喜びたいと思います。

 

 一方で、その過去の自分の努力は、共通テストでよい点数を取るための努力ではないはずです。志望校を予定通り受けるのだと思います。切り替えましょう。2次対策です。

 

    国公立志望者はならば、論述が待っているはずです。「ビックリするぐらい書けなくなる」なんて人もいます。リハビリが必要です。今すぐ、論述対策を再開しましょう。ここからの1か月が大切です。

 

 私立志望者ものんびりしている暇はありません。より細かい知識が問われます。史料対策も十分ではない人がいるはずです。

 

 共通テストはある種の通過儀礼です。勢いをつけることは大事ですが、喜びに浸ることはあってはなりません。

 

 

結果に呆然としている皆さんへ

 

①.まずは現状を受け入れること

 コロナ禍ですし、びっくりするような事件も起きました。津波警報に驚いた人もいるでしょう。ですが、痛ましい事件が起きた会場で受験する、というような特別な事情がない限り、「とった点数が今の皆さんの実力だ」ということを受け入れることが重要です。

 

 よく「後になって復習したらできた」とか「もう一度問題文を読んでみたら、解法を思い出した」という人がいます。それを言ったところで、意味のないことです。残酷な物言いですが、「試験会場で正解できること」や、「試験会場で問題を見た時に、解法が思い出せること」が 試験では問われています。先程のようなコメントは試験の本質を見誤った発言です。

 

 「本番で力を出せるように(本番に間に合うように)、学力を積み上げなければならないこと」は受験生であれば、分かっていたはずです。「力が出せなかったと口に出すのは甘え」です。残酷な言い方ですが、「本番で出せた力が実力」なのです。厳しく言えば、「結果が芳しくないときにそのような言い訳(に僕には聞こえます)を日常的に述べてきたから、失敗したのではないか」と個人的には思います。

 

 自分が危惧するのは、力が出せなかったことを悔やんでばかりで、力が出せなかった原因を探らない姿勢です。その姿勢が変わらないまま、次に臨めば、次の試験でも 同じような失敗を繰り返すのではないでしょうか。

 

 動きましょう。メソメソしていても、現状は変わらないばかりか悪化します。信頼する指導者がいるのであれば、頼りましょう。何が失敗の原因だったのかを分析しましょう。

 

 

②.本番の厳しさと切なさ

 「答えが2つまで絞れていて、ある知識を思い出せれば、正解できたのに!」という場面に遭遇した人々もいると思います。そして、そうした場面に遭遇した自分の不甲斐なさに怒りを覚えた人もいると思います。本番の厳しさは、本番でしか経験できません。

 

 解けなかった問題もあると思います。最後、渋々、マークシートを塗った問題もあるでしょう。その際に、「本番なのに、何やってんだろうなぁ、自分」と切ない気持ちになった人もいるのではないでしょうか。この切なさも「本番ならでは」です。

 

 

③.どうしたいのかを決める

 2次に向けた学習を再開する前に、確認すべきことは「これからの自分の方向性」です。

 

 点数が芳しくない場合、二兎を追っても厳しいですから、「欲望を一つに絞ること」を考えてください。例年、ここの切り替えができない受験生を多く見てきました。未練があるのは分かりますが、現状は厳しいのですから、二兎を追う行動は避けるべきです。

 

 「欲望を一つに絞ること」際は、正直になって、「どうしたいのか」を自分に問いかけてください。「やっぱり第一志望で勝負したい」ならば、それに徹するべきですし、「厳しい、国公立は諦めよう」と思うのであれば、そうすべきです。具体的に言えば、国公立志望者であれば、「出願する国公立を変えるor変えない」、「私大受験に切り替えるor切り替えない」、私大志望者であれば、「そのままの第1志望で勝負するのか、志望を下げるのか」です。

 

 第一志望で勝負したいという場合、確率は低いことを念頭において、「抑えの学校を受けるのか」、「もう1年を覚悟するのか」を考えましょう。

 

 「もう1年を覚悟している」ならば、抑え受験は絞りましょう。その分、本命の対策に専念でき、逆転の余地が残ります。その覚悟がないならば、確実な抑えを用意すべきです。ここでの「確実な抑え」は「共通テストでとった点数から考えて、確実な」という意味です。

 

 決める際に、色々な人にアドバイスを求めることはよいことです。特に普段、他者のアドバイスに耳を貸さない人は、それが失敗の要因ということもあり得ます。

 ただ、「最後は自分で」決めることです。いま、自信を失った状態であったとしても、最後に決めるのは自分でなければなりません。誰かに決められたということだけはあってはならないと思います。

 

 

④.決めたら、切り替える

 方向性が決まったら、切り替えてください。切り替えるために泣くことが必要なら、思いっきり泣きましょう。ただし、他人にあたるのは止めましょう。気まずくなるだけです。それから壁や机にあたると、「痛い」ですので止めましょう(というより、最悪、利き腕を負傷して、2次試験で自分が苦しむだけです。あたるなら、誰も見ていないところで、枕やぬいぐるみの類にしてください)。

 

 

⑤.徹底的に勉強する

 方向性が決まり、切り替えたら、勉強するだけです。徹底的にやりましょう。本番の厳しさや切なさを経験した者だけに分かる徹底的な勉強があるはずです。「できるはずだ」ではなく、「間違えたら嫌だから、再確認しよう」という姿勢が大事です。「できるはずだ」というような甘い姿勢が失敗につながった可能性であることを忘れないでください。