東大入学式で、映画作家の河瀨直美氏が来賓として祝辞を述べている。その中でのコメントに強い違和感を持った(全文はこちら)
特に
「「ロシア」という国を悪者にすることは簡単である。けれどもその国の正義がウクライナの正義とぶつかり合っているのだとしたら、それを止めるにはどうすればいいのか。なぜこのようなことが起こってしまっているのか。一方的な側からの意見に左右されてものの本質を見誤ってはいないだろうか?誤解を恐れずに言うと「悪」を存在させることで、私は安心していないだろうか?」の部分である。
一面的な見方を諫めているように読める一方で、侵略戦争に対する基本的な理解が抜け落ちているように思う。侵略した側に「正義」などないのではないか?
彼女としてはタイムリーな話題をあげ、新入生の興味をひこうとしたのであろうが、であるならば、しっかりとした下準備をすべきであった。映画作家としての不見識をさらす結果となった。
むしろ、一面的な見方を諫める例として、彼女があげるべきタイムリーな話題は、昨年末に放送されたNHKの番組「河瀬直美が見つめた東京五輪」における虚偽字幕問題であろう。マスコミは虚偽の字幕により、簡単に大衆を一面的な見方に誘導することができること、それを東大の入学式で述べる方が祝辞として非常に意味のあるものになったと思う。
こうした不見識な来賓を招く、東京大学現執行部の見識を強く疑う。