名古屋大学は文学部と情報学部人間・社会情報学科の2次試験で日本史を実施する(文学部は英・数・国・地歴の4科目、情報学部人間・社会情報学科は数学との選択で英・地歴or英・数)。
文学部は2次試験における英・国・社・数の比率が2:2:1:1であり、主要科目の対策が軽視できない。一方、共通テストと2次試験の比率が3:4(共通テストが900点、2次試験が1200点)であり、共通テストの比率が国立大学の中ではかなり高い。
情報学部人間・社会情報学科は科目数が少ないため、地歴の対策は軽視できない(外国語が700点、地歴が400点)。文学部同様、共通テストの比率が高い(共通テストが900点、2次試験が1100点)。
名大は共通テストと2次対策を並行で進める必要がある。生半可な対策では合格が難しいことを肝に銘じよう。
主な出題形式は用語記述、短文記述、論述問題(行数指定あり)の3つである。全問題数は20問前後だったが、近年は増加傾向にある。ほとんどの問題が論述問題である。論述問題は行数が指定されており、1行あたり30~40字で考えればよい。行数は40行前後である。大問は2019年と2015年以前が合計3題、2016~2018年と2020~2022年は合計4問。4問の出題の場合、古代・中世・近世・近現代からの出題となる。
論述問題が中心なので、対策を進める際は論述対策が最優先である。共通テストは80%程度とれればよいので、その分、論述対策を進めたい。
名古屋大は募集要項において、各科目での出題方針が明示されている。その中で、
「時代や地域の変化に留意しながら,原始・古代から現代にいたる時代それぞれの歴史的事象を理解するよう努めてください」や「設問には歴史資料や図表などが添えられることがあります。それらは学校教科書に掲載されている資料・図表ばかりではありませんが,これまでに学習してきた日本史等の教科を通して身につけた知識を使うことによって読み解くことができるものばかりです。未知の資料・図表であっても,そうした既知の知識を活用して的確に判断できるよう求めるものです。そして,答案は一定の字数制限のもとで作成することになりますから,筋道を立てて説明する論理的な文章を的確に整理して書くよう努めてください」、「原始・古代から現代までを対象にして,高等学校までに学校教科書で学ぶ歴史・日本史・世界史の基礎知識を踏まえて,問題文を正確に読み解き,設問および関連資料をも活用しながら,与えられた制限字数の範囲内で的確な語句・文または文章で答案を作成する力を判定します」というコメント(令和4年度名古屋大学募集要項P32より引用)に名大日本史のエッセンスが込められている。
名大日本史は教科書記述を越えるような難問は少ない。よって、教科書記述を深く理解する学習を意識したい。史料や図版の出題は名大日本史では当然であるため、史料集や図録に目を通す学習を心がけたい。名大日本史は受験生の思考力や判断力を問うユニークな問題が出題される。過去問演習を通じて、そうした問題への対策を進めたい。
過去問演習で意識したいのはスピードである。全体で20~30問の問題をこなし、かつ、論述問題の総字数が1400字前後あるため、90分という時間は十分とは言えない。ある程度のスピード感をもってこなしたい。
名大日本史の答案例としては、青本の参照を推奨する。
以下に示した答案例は、田中が独自に作成したものです。受験生が名大日本史に取り組むにあたって、答案例の1つとして参考にしてもらえればと思います。
受験日本史の指導者の方にも参考にしていただければ幸いです。名大受験生を指導するにあたって、複数の答案例に触れながら、考えることは重要と考えます。答案例を使用の際は田中一平が作成した答案例であることを明記して、ご使用ください。
更新履歴
2023年4月16日、2023年の答案例を公開しました。
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